Internet Explorer 10 Compatibility Cookbook
http://msdn.microsoft.com/library/hh801219.aspx
Internet Explorer 10 では Web 標準への準拠や他のブラウザーとの相互運用性の向上が Internet Explorer 9 以上に強化されています。これは Web 全体の進化と将来的なユーザー利益には問題なく大きな前進ですが、その反面、古いバージョンの Internet Explorer の挙動に依存していた Web サイトや Web アプリケーションでは、深刻な互換性の問題が生じる可能性もあるという事です。
その中でも注意すべきだと考えているのが、Quirks モードの動作の変更です。
Internet Explorer における quirks モードは、Internet Explorer 6 で導入された後方互換性のための機能で、ほぼ IE5 以前と同等の方法で HTML の解釈とレンダリングを行うモードです。詳しくは「ドキュメント互換性の定義」(MSDN) や「IE8互換モードについて」(Japan IE Support Team Blog) を参照してください。
Internet Explorer 9 までの Quirks モードは上記の通り、ほぼ IE5 と同等の動作を行っていましたが、Internet Explorer 10 では HTML5 の仕様内に Quirks モードでの挙動が定められる事になるのを踏まえ、それに準拠するよう動作が変更されます。この辺りの話は以前にこのブログでも IE Blog の私訳「IE10 の相互運用性のある Quirks モード」で紹介しています。
しかし重要な変更点はそれだけではありません。MSDN の Internet Explorer 10 Compatibility Cookbook を確認すると、Internet Explorer 10 の quirks モードでは次のような機能の変更 (廃止) も行われます。
- 条件付きコメント (Conditional comments)
- DX filters (DirectX ベースのフィルタとトランジション・http://msdn.microsoft.com/en-us/library/ms532849(v=VS.85).aspx)
- エレメント ビヘイビア (http://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/ms531426.aspx)
- VML (Vector Markup Language)
- XML データ アイランド (http://msdn.microsoft.com/library/ms766512.aspx)
こうした IE の独自機能の廃止も Quirks モードにおける他のブラウザーとの相互運用性の向上が目的です。IE9 までの Quirks モードでは HTML5 の要素は未知の要素として無視されていましたが、IE10 では Quirks モードでも HTML5 が有効になります (VML は SGV で代替されます)。そのため HTML5 で利用可能になる機能と重複する IE の独自機能が廃止されるのです。
レガシーな Web サイト / Web アプリケーションで、IE9 までのバージョンでは Quirks モードを利用する事で動作していた物は、これらの廃止される機能が利用されている場合、IE10 ではそのままでは動作しません。廃止される機能についてそれぞれの詳細はリンク先を確認していただくのが良いのですが、こうした機能の利用について心当たりのあるサイト管理者の方は、早急にテストと確認をされると良いでしょう。
多くの場合、サイトを Quirks モード以外の互換モードで動作させる事で機能が廃止される問題は回避できるでしょう。実はこれらの機能が廃止されるのは Quirks モードとIE10 標準モードだけで、それ以外の、例えば IE9 モードなどの互換モードではこれらの機能は維持されています。そのため X-UA-Compatible META タグなどを利用して、サイト / ページを互換表示すれば、以前と同様に機能が利用できます。ただし、その場合ページのレンダリングは Quirks モード ではなく指定した IE のバージョンのモードになりますから、レンダリング面で IE7 以降のバージョンと互換性が無いサイト/ ページの場合、今度はこちらの問題が生じる事になります。
まとめると、IE10 で動作せず根本的な改修が必要になるパターンは、「IE6 以前のレンダリング モードでないと意図通りに表示できない」かつ「(上記の) IE10 で廃止される機能を利用している」サイト / ページという事になります。これらのサイト / ページは、
- IE7 以降のバージョンでも意図通りレンダリングされるよう改修し、互換表示を利用する
- 廃止される機能を HTML5 や SVG などで置き換える
のいずれかの対処を行わないと、IE10 では適切に利用できないサイトになってしまいます。ご注意ください。(もちろん IE10 や他のブラウザーでも利用可能なように、HTML/CSS 共にモダナイズする事が最良の選択です)
[…] Internet Explorer 10 の quirks モードは今までの quirks モードではない https://hebikuzure.wordpress.com/2012/03/24/internet-explorer-10-%E3%81%AE-quirks-%E3%83%A2%E3%83%BC%… […]
ピンバック by IEのドキュメントモードと互換表示について [ 開発 ] みどりのウェブ開発日誌 Ajax Query PHP Rails XHTML CSS の覚書 — 2013年4月9日 @ 11:05 午前