Hebikuzure's Tech Memo

2013年12月2日

Internet Explorer の歴史 (承前)

Filed under: Yet Another Internet Explorer Advent Calendar 2013 — hebikuzure @ 8:35 PM

この記事は “Yet Another Internet Explorer Advent Calendar 2013” の2日目です。


Internet Explorer の歴史、昨日の記事の続きです。昨日も書いたように WIKIPEDIA (英語版)などに良記事があるのですが、個人的な感想なども含めてまとめたいと思います。
またスクリーンショットはこちらのサイトなどで見ることができますので、この記事では省略します。

Internet Explorer 6

Internet Explorer 5.5 と出来のひどかった Windows ME のリリースから 1 年ほどで、Internet Explroer 6 と Windows XP がリリースされました。Internet Explorer 6 は 2001年8月27日に公開され、2001年10月25日 (日本での製品版の販売開始は 11月16日) リリースの Windows XP にも標準ブラウザーとして搭載されました。Windows Server 2003 および Windows Server 2003 R2 にも標準ブラウザーとして搭載されています (Windows Server 2003 R2 は IE6 SP2)。また Windows 98 / NT 4.0 / Me / 2000 にもインストール可能でした。昨日の記事でも書きましたが、このバージョンから Windows 以外のプラットフォーム向けの提供が無くなっています。

DHTML の拡張、iframe のコンテンツの制限、CSS level1 / DOM level1 / SMIL 2.0 の (一部限定的な) サポートなどの機能的な強化に加え、P3P のサポート、エラー収集と報告、イメージの自動リサイズなどの新しい機能も盛り込まれています。この当時 Windows 環境で利用可能な他のメジャーなブラウザーは (Opera も存在していたものの) Netscape 位で、それと比べても全体としてバランスが取れ完成度の高いブラウザーとなっていました。「ブラウザー戦争」と呼ばれた Internet Explorer と Netscape のシェア獲得競争に決定的な結果をもたらした「功績者」と言えるでしょう。

反面、そのプログラムとしての出来の良さと圧倒的な獲得シェアが、Microsft をしてブラウザーと Web の世界により新しい可能性を追求する動機を失わせてしまい、結果として「Web 2.0」の世界に出遅れる結果となったのかもしれません。

またこれは Internet Explorer に限らず Windows XP や Windows Server 2003 全般に言える事ですが、「ブロードバンド/常時接続時代の Windows」が売り文句であった割にネットワーク セキュリティを始めとするセキュリティ面が脆弱で、数多くのセキュリティ ホールが見つかり Microsoft はそれへの対応に追われる事となります。いずれも Internet Explorer 自体のセキュリティ ホールではありませんが、2003年8月12日からの Blaster ワームや 2004年4月30日からの Sasser ワームのパンデミックは Windows ユーザーや Microsoft 自身だけでなく、社会的にも大きな衝撃を与えた事が記憶に残っているでしょう。

ちなみに私自身はこれらのパンデミックの際には Microsoft のサポートセンターの仕事をしており、爆発的な Call の増大、それに対応する 24時間窓口の設置、急遽増員されるエンジニアの初期教育や Call コントロールなど、それこそ死ぬかと思うくらい忙しく大変だった事を今でも覚えています。

こうしたセキュリティの甘さを改善し、Windows とそのコンポーネントをセキュアなものとして再構築するために、Microsoft は「Trustworthy Computing」を掲げ、次期バージョンの開発を停止して Windows XP SP2 を作成します。Internet Explroer 6 も Windows XP SP2 に Internet Explorer 6 SP2 として含まれています。IE6SP2 ではセキュリティ強化機能として、内部的な脆弱性の修正以外にファイル自動ダウンロードのブロック (情報バーの表示) や ActiveX インストールの警告 (これも情報バー) などの機能を搭載しています。ただし IE6SP2 は Windows XP SP2 に含まれる形でのみリリースされたため、ダウンレベルの Windows 用の IE6 は最後まで IE6SP1 のままでした。

このバージョンで興味深いのは、Goopher プロトコルが既定で無効になった事 (Internet Explorer 7 でサポート自体廃止) と、Internet Explorer Administration Kit (IEAK) の提供が開始された事です。前者は (Blaster や Sasser のパンデミック同様) インターネットの牧歌的時代の終わりを象徴するものであり、後者は Internet Explorer がエンタープライズ環境のイントラネットにおいて Internet Explorer が不可欠のビジネス ツールになって行く事の象徴ではないかと思います。

もう一つこのバージョンからの変化は、x64 版の登場です。2005年4月23日から Windows XP Professional x64 Edition が発売されましたが、このエディションには 64 ビット版 Internet Explorer と (WOW64 で動作する) 32 ビット版 Internet Explorer の両方がインストールされています (Windows Server 2003 x64 Edition / Windows Server 2003 R2 x64 Edition も同じ)。この 64ビット環境での 32ビット IE と 64ビット IE の併存は Windows 7 (Windows Server 2008 R2) まで続きます。

このように見てくると、Internet Explorer 6 は「古く悪しき」Internet Explorer 親玉という見方だけでなく、現在のブラウザーのあり方に通じる入口という性格もあったと考えて良いのではないかと思います。

Internet Exploere 6 は現時点で Microsoft がサポート (契約ベースでの有償サポート、およびセキュリティ修正更新プログラムの提供) を行っている最も古いバージョンであり、その Modern Web への対応力の低さから Microsoft 自身、Web 開発者、Web サービス事業者が一日も早い消滅を願っているブラウザーであるのも周知の事でしょう。

現在サポートされているのは Windows XP SP3 およびそれに含まれている Internet Explorer 6 SP3 です。SP1 / SP2 についてのサポートは既に終了しています。また Windows XP SP3 / Internet Explorer 6 SP3 へのサポートも 2014年4月8日に終了します

なお Internet Explorer の正式名称は IE6 までは “Microsoft Internet Explorer” でしたが、次のバージョンから “Windows Internet Explorer” に変更されています。

個人的には、WIndows XP のリリース直後は (標準ブラウザーでもあるため) よく利用していましたが、Blaster や Sasser の洗礼、そして Web 2.0 の波もあり、その後はやむを得ず利用する他は Firefox や Opera にシフトしていた時期です。

Internet Explorer 7

2006年10月18日に Internet Explorer 7 がリリースされ、2008年11月8日に RTM した Windows Vista に標準ブラウザーとして搭載されました。

この頃から特定の Microsoft 製品の出荷日を示すのは複雑な話になっています。まず RTM (Release to Manufacturing) がやって来ます。これは製品の開発が終了し、OEM ベンダーにプリインストール用のキットが提供される日付を示します。次にボリュームライセンス向け提供が開始されます。新規の購入以外に SA (Software Assurance) 契約を持っているユーザーにも提供が開始されます。その後に GA (General Availability) で、これは一般ユーザーにその製品が (OEM プリインストールやパッケージ版で) 提供される開始日です。
Windows Vista の場合 RTM は 11月8日、VL 提供が 11月30日、GA は翌2007年1月30日でした。

当初ダウンレベルの Windows には提供しないという話もあったのですが、結局セキュリティ面からも古いブラウザーを使い続けられるのは良くないという判断なのでしょう、Windows XP (ただし SP2/SP3 必要) と Windows Server 2003 (SP1/2 必要) にも提供されました。前述のように正式名称が “Windows Internet Explorer 7” になっています。

このバージョンでの見かけ上の最大の変更はタブ インターフェイスの採用です。他のレンダリング エンジンのブラウザーだけでなく Trident エンジンを利用するタイプのブラウザーでも広く搭載されていた機能なので、Internet Explorer もようやく「今風」のユーザー インターフェイスに変化したのかという印象を強く持ちました。

しかしこのバージョンでの本当の最大の変更は、保護モードの採用でしょう。Windows XP と Internet Exploer 6 で引き起こされた様々なセキュリティ上の問題について抜本的な対策をするべく、Windows Vista ではユーザー アカウント制御 (UAC) の機能が搭載されましたが、Internet Explorer でもそれを利用した保護モードが導入されています。これはプロセスごとにセキュリティ への書き込みアクセスを制限する「整合性レベル」を利用し、通常の Internet Explorer の動作は低い整合性レベルで実行しておき、高いレベルの書き込みアクセスが必要になった際に UAC でユーザーの確認 (または管理者パスワードの入力) を求める仕組みです。これらよりユーザーのマシン上でのデータの書き込み、変更、破壊や、あるいは悪意のあるコードのインストールといった攻撃の可能性を大幅に低減できるようになりました。

Windows Vista では UAC を表示する動作の選定や表示のタイミングなど、ユーザー インターフェイス的に洗練されていない局面が多く、「セキュリティで面倒なだけの OS」という悪評も出ましたが、そうしたフィードバックを基に Windows の UAC と Internet Explorer の保護モードの動作は現在に至るまでリファインされ続け、引き継がれています。

もう一つ内部的な動作での大きな変更は、Windows エクスプローラーと Internet Explorer の分離です。これは Inteternet Explorer 4 で導入されたデスクトップ結合と Active Desktop の機能に別れを告げるものです。これにより Windows エクスプローラー (Windows Shell) は Internet Explorer の挙動に影響される事のない安定性を取り戻し、またセキュリティ的にもローカルの動作とインターネット上の動作を分離する事でより大きな安全が確保されるようになりました。

それ以外では「Web 標準を指向する」という目標は掲げられたものの、実装は依然として IE6 と大きな変化はありませんでした。このバージョンではその領域より上記のようなセキュリティを重視したという事なのかもしれません。そのため以降のバージョン (Internet Explorer 8 以降) の互換表示機能では、Internet Explorer 7 のレンダリングがエミュレートされます。

個人的には IE6 時代から引き続き、他のブラウザーをメインに利用していた時期です。

※ Internet Explore 8 以降は明日に続く………

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